上司を「自然に」変えるには

上司も含め、他人を変えるなど、おこがましい。
そのエネルギーで、あなた自身をスキルアップさせよう。

「訴えてやる」のような、権力にすがる短期的な現状変更は、
結局元に戻るので、長い目で見ると効果がほぼ無い。

裏を返せば、長期的にならば人は変わるとも言える。
「長期」が具体的にどの程度のスパンになるかはその人次第であるが、
心構えとして持っておき、態度で示すことは意味がある。

嫌なことに反射的に反発することを是とする昨今への批判も少し込めて、
思いを並べてみた。お付き合いいただければ幸いである。

他人は、思い通りになるわけがない

記事タイトルと矛盾するようだが、念押ししておく。
そう簡単に、他人をコントロールできるわけがない。

これまでの人生経験、思想信条、背負っているもの。
雑に言えば「価値観」に包含されるものは個々人で異なる。
これをすっ飛ばして、あなたの価値観で相手を閉じ込めることは、
広い意味で人権侵害だ。(こう書くとうるさい人も出てくるが…)

あなたが、上司が思い通りにならないことに苛立つ気持ちも、
全く理解しないわけではない。ただし、境遇を整理してほしい。

その上司の言動は、単なる嫌がらせなのか。
コミュニケーションの手段をあなたはやり尽くしたか。
1回だけの嫌なイベントで、上司を決めつけていないか。
上司の言動に対して、反射的に不規則な対応を取っていないか。

誤解を恐れずに書くが、今、あなたと上司は同じ空間・水準にいる。
これは、少なくとも一定のレベルをお互いに持っているということだ。
すなわち、あなたが取るアクションは、上司も理解できる余地がある。

この一筋の光明を拠り所として、対応を考えてみたい。

対応①:話しかけやすさの演出

わたし自身の経験(反省)として、これは意外と難しい。
その代わり、できると効果は大きい。

あなたが上司に対して思うところがある場合、
上司との距離を取り、話しかけにくい状況を作っていると推察する。
(注:あくまで、傾向として読んでいただきたい)

話しかけにくいと、上司はあなたとの間合いがつかめない。
結果として、仕事上の指示やコメントを短時間で伝えるだけとなる。
このご時勢では歓迎される傾向のようだが、SNSを見る限りはそうではない。
もっと優しい言い方があるだろ、のような文句であふれている。

「社会人の鑑」の仮面をかぶって、外交的な道化を演じるのはやりすぎだ。
効果が出るまでにあなたが疲弊しきってしまう。

挨拶と、週1回・30分以内の簡単な相談の時間の確保。
可能ならば、相談の際に、「話す機会を増やしたい」と一言加える。
ただ、これだけで良い。

上司の存在が希薄で、ひたすらアウトプットに集中する環境ならともかく、
上司の裁量があなたの業務に影響を与える状況ならば、
気に入らないことに逐一反抗する奴よりも、話しやすい奴を優先する。
上司だって人間だ。少なくとも、わたしならそうする。

対応②:リアクションの標準化

多少でも話す関係性を作ることと同時並行で、
あなた自身の反応・リアクションの標準化を試みていただきたい。

「標準化」と書くと没個性的に見えるかもしれないが、
安定した個性の演出、と捉えてほしい。
芸能人に持ちネタがあるように、あなたも持ち味を示すのだ。

先に注意をしておく。
感情の無い機械的な対応を作ることはしないでほしい。
これをやると上司は一層変わらなくなる。

雑談を持ち込むタイミング、相談内容の構成、
依頼事項が来た時の応答など、職場における上司との接点での対応を
大まかに持っておく程度で良い。

雑談が好きな上司であれば、雑談はひとしきり業務連絡が落ち着いたら。
ルール重視の上司であれば、相談事項は準拠したルールの提示から。
のように、上司ごとの使い分けができるのが理想だが、実際は難しい。
特に、新しい上司のタイプの見極めは意外と時間がかかる。

なので、あなたのペースの開示を進めていくことを起点にしよう。
結果がすべての外資系の企業の方が、実は相互理解の場を重視している。
お互いが違うことが前提で、誤解がビジネスの失敗に直結するからだ。
「空気」にすべてを委ねる日本企業の方が、実は不親切だ。

安定して、リアクションを開示する。
できれば、接しやすい雰囲気の演出を含めて。
試す価値はある。

対応③:成功体験を上司に積ませる

やや意地が悪いが、上司のためでもある。
対応①・②で地盤が固まってきたら、採り入れていこう。

上司からの依頼があなたの気に障る方法の場合は「合格点ギリギリ」で、
あなたが望むアプローチでの依頼に対しては「ほぼ満点」で、
アウトプットを出すようにしてみよう。

露骨にならないギリギリのラインで態度を変えてみても良い。
「あの頼まれ方だと調整がきかない」と持ち掛けても良い。
「もっと後段の具体業務なら一気にできる」という調整も選択肢だ。

とにかく、
「こいつはこう頼むとエネルギーを注いでくれる」
「週に○○くらいのペースで、応援&相談の場を持つと機嫌が良い」
のようなテンプレートを上司が学習するまで、
あなたのアウトプットの質をコントロールしよう。

他人はコントロールできない。
ましてや、心の奥底でどのように思っているかなど、
あなたもわたしも的中させられる術などあるわけがない。

ならばこそ、表に出ている部分について、
上司には出し方をコントロールできるように、
こちらのアプローチ・出力を調整していく必要がある。

生きるためには、所属している集団の論理を守る必要がある。
その中でできることを、地盤固めをしながら進めていただきたい。

結び

パワハラや暴力が横行する場所ならともかく、
組織としての機能がそれなりに整っている環境においては、
「そこでどう効率良く生きるか」がテーマになる。

全ての刺激に対して、その場の思い付きで返していたら、
一貫性もなく、神経も消耗しやすい。
何より、反射的であるがゆえに、致命的な対応になる危険性もある。
炎上の職場版と考えてよい。

そこから一歩考えを深め、オリジナリティをアウトプットとともに示す。
その前段として、上司があなたのオリジナリティに触れる場面を増やす。

「あなたができる範囲で」という大前提の上で、
何より、あなた自身がより良く生きていくために、
上司に学んでもらうための仕込みを、検討いただきたい。

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